
漢字部で五段まで昇段できたんですけど、次昇段したら準六段ですよね?

五段の次は六段になります。
ただし、六段以上は試験制になっていて、合格しないと昇段できません。

え!?試験?毎月の出品じゃ、昇段しないってことですか?
どうしよう…

さとるくん、大丈夫ですよ。高段位試験の勉強を始める前に、まずはどんな試験なのか知ることが合格に向けての第一歩です。今日は試験の概要と教材や勉強法を解説していきますね。
高段位試験はさらなる実力アップのための試験
まず、高段位試験は強制ではありません。五段になったからといって必ず挑戦しなければならない試験ではなく「六段位、七段位、八段位が欲しい!」という希望者が挑戦することのできる試験です。

さとるくんのように将来教室開設したいと思っている人も、高段位を持っていなくても教室開設はできますので、安心して下さい。
高段位試験は、漢字部の教授免許を持っている人がさらに書に対する理解を深め、技能を高めるための試験です。
後ほど詳しく解説しますが、試験は理論試験と実技試験に分かれます。
理論試験では、書道史や書道用語などの「書に対する理解」が求められ、実技試験では筆遣いなどの「技能力」が求められます。
試験の概要
受験資格
▶︎六段試験:受験時点での漢字部受講者で漢字部教授免許取得者
▶︎七段試験:受験時点での漢字部受講者で六段位取得者
▶︎八段試験:受験時点での漢字部受講者で七段位取得者

「自信があるから、六段・七段すっ飛ばして八段受けます」とかはできないんですね。

そうですね。それから「漢字部教授免許」の取得が必須になっているので、五段合格時に免許状を申請して取得しておきましょう。
試験概要
受験方法▶︎在宅受験(どこかの試験会場に行って受験。ではなく、自宅や通っているお習字教室で受験可能)
申込方法▶︎漢字部5月号に挿入の「受験申込書」にて申し込み。
受験料▶︎六段試験11,000円、七段試験11,000円、八段試験11,000円(全て税込)
実施期間▶︎7月(年に1回実施)
資格申請▶︎昇段試験合格者は漢字部六段位・七段位・八段位合格証明書の申請ができます。
試験内容
【理論試験】書道に関する一般知識および書道史
【実技試験】
<半紙課題>楷書(四字)・楷書・行書・草書・隷書・中字(楷・行)・古典臨書・ひらがな
<条幅課題>楷書・行書
※八段位のみ上記に加え、六朝体・篆書

試験課題が届いてから提出締め切りまで1ヶ月弱ほどになります

え?それなのに提出課題めっちゃ多いやないですか。

そうですね。なので、受験前から色んな書体に挑戦して書き慣れておきましょう。
試験内容を詳しく解説
理論試験編
【書道史】【書道用語】【草書解読】主にこの3つが大きな課題となります。
今から過去問を出しますので解けるかどうか試してみて下さい。

まずは書跡について答える問題です

上の3つの書跡それぞれの「名称」「書者名」「時代名」を楷書で書きなさい。

書家を答える問題も出ます。
- 初唐の三大家を楷書で書きなさい。
- 唐の四大家を楷書で書きなさい。
- 三跡(三蹟)を楷書で書きなさい。
- 三筆を楷書で書きなさい。

次は漢字の読みを答える問題です。次の漢字は読めますか?
- 「久隔帖」
- 「牛橛造像記」
- 「黄州寒食詩巻」
- 「六書」(※「ろくしょ」ではありません)

次は書道用語です。
- 「方筆」の対語。点画が丸みを帯びたものは何でしょうか?
- 隷書の一種で波磔の完成しないものは何でしょうか?
- 「仮名」の対語。漢字の古い呼称は何でしょうか?

次はちょっと上級編ですが、説明文から書跡の名称を答える問題もあります。
- 名称は、石の形状が太鼓に似ていることに由来する。内容は狩猟に関係すること。
- 唐を代表する草書の名品で、王羲之・王献之の書の評価と精神性を述べた格調の高い書論である。

そして草書の解読。※著作権の関係で私の字を載せています。実際は観峰先生の字です。


他にもありますが、理論試験はだいたいこんな感じの構成になっています。

どうしよう…全然わかりません(泣)

さとるくん、今から少しづつ勉強していけば大丈夫ですよ。理論試験の内容は普段字を書いているだけではわからなくて当然です。後ほど勉強に必要な教材と勉強法を解説します。
実技試験編
実技試験は提出課題数がめっちゃ多いので覚悟して下さい。
- 楷書(四字)
- 楷書
- 行書
- 草書
- 隷書
- 中字
- 古典臨書
- 条幅(楷書)
- 条幅(行書)
- ひらがな
- 篆書(八段試験のみ)
- 六朝体(八段試験のみ)

ぎゃー!これを1ヶ月弱で仕上げるんですか?

そうです。八段試験は12課題提出しないといけないので大変です。
因みに問題用紙には活字で書いてあるためお手本は入っていません。
試験勉強に必要な教材と勉強法
理論試験編
まずは必要な教材を揃えましょう。全て日本習字の教材ですので書店にはありません。教室に通っている人は先生に注文をお願いして購入しましょう。

『昇段試験受験ガイド』¥1,320
書道用語に対応するための教材です。これがあればサクッと勉強できます。
勉強法▶︎「楷書で書きなさい」という問題が多いので、書きながら覚える方法がおすすめです。

見て覚えるだけでは、漢字を思い出せずに苦しむことがあります。要注意です。

①『新 中国書道史年表』¥2,420(2023年4月〜)
②『新 日本書道史年表』¥2,860(2023年4月〜)
この2冊は書道史に対応するための教材です。2023年4月より価格が上がるので、受験予定の人は早めに購入しましょう。
書跡とその名称・書者名・時代名はもちろん、何について書かれた書跡なのか、書きぶりにどういった特徴があるのかも解説されています。
勉強法▶︎まずは書跡を見て、名称・書者名・時代名を答えられるようにセットで覚えましょう。
次に何について書かれた書跡かもわかっておくといいですね。

例えば、誰かの徳治を頌えるものだったり、誰かの冥福を祈ったものだったり、屏風の下書きなのか、手紙なのか…などざっくりでOKです。

『字のくずし方要領』¥1,760
草書の解読に対応するための教材です。
勉強法▶︎鉛筆や筆ペンで真似して書いてみましょう。草書のくずしパターンが徐々にわかってきます。

「草書はもともと書けます!」って人はいないと思います。できるだけ早く取り掛かりましょう。
理論試験:よく出題される問題リスト
▶︎中国の時代:殷時代・東晋時代・後漢時代・唐時代
▶︎中国の書家:王羲之・欧陽詢・虞世南・褚遂良・顔真卿
▶︎日本の時代:平安時代
▶︎日本の書家:空海・最澄・嵯峨天皇・橘逸勢・小野道風・藤原佐理

この書家たちの書跡を覚えればいいんですか?

そうですね。ただし「この書家たちさえ覚えていれば合格ラインに到達できる」というものではなく、「最低限この書家たちを知らないとお話になりません」ってレベルです。
理論問題は、まずはこの書家たちを勉強して、徐々に知識を拡張させましょう!
実技試験編
実技試験で揃える教材は次のとおりです。

前年度の漢字部のお手本
問題用紙にはお手本は入っておりませんが、実際は前年度の漢字部のお手本から主に出題されます。大切にとっておきましょう。
勉強法▶︎普段の毎月の課題は満遍なく色んな書体に取り組んでおきましょう。しっかり添削を受け自分の癖を把握しておきましょう。
特に、条幅課題はなかなか書く機会が少ないという人が多いと思います。ちょっと大変だけど、積極的に書いていきましょう。

楷書の条幅にも、挑戦して下さいね。

『ひらがな五十音』¥1,100
勉強法▶︎漢字部では自由課題となっており、2作品にプラスして出品することができます。積極的に書いていきましょう。

ひらがなは草書の筆遣いに近いため、意外に書けずにリアルに落ち込みます。要注意です。
ここからは八段試験を受験する人のための教材です。

『六字四体書範』¥3,520(ちょっとお高いですよね…)
八段試験の場合は行書課題が六字になります。漢字部にはお手本が載ってないので、自信がない人はこちらの教材を購入してお手本をゲットしましょう。行書が得意な人はなくてもいい教材かもしれません。
お手本なしで自分の力で書く場合は、誤字脱字がなく、書体が行書になっていて、観峰流で書かれており、作品が体裁よくまとまっていればOKです。

『観峰条幅書範』各¥3,960

各!?高っ!

これは私も高いと思います…なので、裏技があって「春・夏」「秋・冬」と分かれて2冊なので、試験課題の文言によっては季節がわかるものもあります。課題が分かった後にヤマを張って注文する手もあります。が!ヤマが外れた場合、ペンギン書道教室は一切責任を負いませんw
最後に
いかがだったでしょうか?高段位試験、結構大変そうですよね。
しかし、試験に合格した時は長年やってきたことや一生懸命勉強したことが報われるし「認められたんだ!」と誇らしい気持ちになります。
理論試験の勉強も実技試験の勉強も、とにかく早く始めることがポイントです。色んな課題に挑戦し、添削を受けて自分の字の癖を頭に入れて研鑽を積みましょう。

試験を受けるか迷っている人は、まずは書いたことがない課題に挑戦してみることをオススメします。
また、試験は毎年実施されているので、仕事や勉強などで日々忙しく勉強の時間がなかなか取れない人でも、2〜3年かけてゆっくりじっくり勉強して試験に臨んでもいいかもしれません。

高段位試験は決して難易度の低い試験ではありませんので、一発合格できなくても珍しいことではありません。もし合格できなくても、翌年再チャレンジする事もできます。
そして、合格した時は思いっきり誇って下さい!

僕も今からコツコツ頑張ります。一緒に勉強頑張りましょう!

