
そういえば、初唐の三大家を勉強したとき、王羲之という書家がチラッと出てきましたね

では、今日は王羲之について勉強しましょう

初唐の三大家については、下をチェックしてね
王羲之は東晋時代の書家です。
東晋時代は、初唐の三大家(欧陽詢・虞世南・褚遂良)が活躍した唐時代より約250年も前になります。

僕たちが生きている今の時代より約1700年前ってこと!?
初唐の三大家が活躍する頃には「科挙」という試験が実施されていて、これに合格すれば国のエリート官僚として働くことができました。

当然、難易度MAXの激ムズ試験でした
実は、この「科挙」という試験においては、答えが正解だったとしても文字が下手だったら不合格となってしまうんです。

厳しいわね。どんな字だと合格できたんですか?

そこで出てくるのが、王羲之の字です
エリート官僚の間では、王羲之の字がお手本であり、科挙も王羲之のような文字が書けることを基本としていました。
このように、王羲之の文字は当時から今まで1700年以上、とてもいいお手本だと言われています。

王羲之さんの文字はどういうところがすごいんだろう?
生涯
王羲之は、王が姓、羲之が名です。ちなみに中国語読みは「ワン・シージー」と読みます。王さんなんですね。
王羲之は王家に生まれ、兄弟もいました。他の兄弟は勉強熱心でしたが、王羲之は自由奔放でした。

でも、勉強はよくできたんです

たまにいますね。遊んでるかと思いきや、ちゃっかり成績いい人
大人になった王羲之は優秀だったため、国のためにお仕事をするようになりました。
周りからは「とても頭がいい」とか「国には欠かせない存在」とか「芯の強さがある」と評判も良かったそうです。
しかし、王羲之は地位や出世には興味がありませんでした。権力争いの絶えない都会の仕事に疲れ果て、地方で働くことを望んでいました。
そんな中、49歳となった王羲之は地方で会稽内史という仕事をすることになります。簡単にいうと地方の市長のような立場でしょうか。

ここでみんなの生活を守るため、食糧の管理をしたり、汚職を摘発したりとかなり活躍しています
そして、その地域は老荘思想にもとづいた清談が流行っていました。

ロウソウしそう?せいだん?

老荘思想はすごく簡単にまとめると「無理せず自然のままに自由に生きていきましょう」という教えのことです

清談は、自然の中でお酒を飲みながら俗世を離れたおしゃべりをすることです

なんだかグランピングみたいですね
「自然」とは、川や森に囲まれることもそうですが、老荘思想のいう自然は「物事の原理」や「宇宙」など哲学的な話にもなるので、気になる人は調べてみてください。

王羲之はとにかく俗世間から離れてのんびりした暮らしを望んでいたようです
王羲之は50代になった頃、すべての職を辞めて隠棲生活に入ります。

「隠棲生活」とは社会から離れて、田舎などでのんびり暮らすことです

ついに夢が叶ったんですね
晩年の王羲之は健康には恵まれませんでしたが、友人と手紙のやり取りをすることが楽しみの一つになっていたし、老荘思想の自然のままに生きるという教えが王羲之の力になっていたため、心は常に安らかだったそうです。
王羲之は59歳で世を去りました。

ちょっと短命だけど、晩年は穏やかに暮らせたのね
代表作

十七帖は、晩年の王羲之が周撫という人に送った手紙を集めたものです。
蘭亭序は、蘭亭という場所で王羲之が主催した「曲水の宴」について書かれたものです。
「曲水の宴」とは竹林や川などの自然に囲まれた中で、詩をよんで遊ぶことです。

どんな遊びだったの?
曲水(曲がりくねった小川)にお酒が入った杯を浮かべて流し、杯が自分の前を通っていくまでの間に詩をよみ、間に合わなければ罰として、その杯のお酒を飲みます。

曲水の宴には詩の得意な人も招待されたので、たちまち多くの詩ができ、感激した王羲之が序文を書きました。これが「蘭亭序」です。
文字の特徴
蘭亭序を見てみましょう。
王羲之の文字の特徴はどんなところだと思いますか?

筆の動きっていうか、流れが綺麗だわ

太い字もあれば、細い字もあります

本当だ!それに、大きい字と小さい字があります

いいですね!では詳しく特徴を見ていきましょう
優雅な流れ
特に蘭亭序がそうですが、優雅な流れが特徴です。筆が流れるように自由に動いているようです。

王羲之はガチョウが好きだったことで有名です。ガチョウが自由自在に首をくねらせるのを見て、筆使いのヒントを得たという話もあります。
さまざまな大きさの概形
文字には概形といって、だいたいの形があります。
王羲之はそれまで少ししか変化のなかった概形の大きさを大胆につけました。

文字のバリエーション
これは、王羲之の文字が素晴らしいと言われるいちばんの理由ですが、文字のバリエーションがとても多いんです。下の画像を見てください。

これは蘭亭序の中に出てくる「之」という文字です。同じ文字なのに書き振りがさまざまだと思いませんか?
書道ではこのように同じ文字を書く場合、形や太さ、大きさなどに変化があることが芸術的だと言われています。
自然が大好きだった王羲之は、例えば雲がたえず形を変化させるように、文字に変化をつけました。
唐時代の孫過庭という人も王羲之の書のことを「あるところは怒涛のように壮重であり、あるものは蝉の羽のように軽く、また泉の水のように流れ…まさに天然自然のようだ」とバリエーションの豊富さを褒めちぎっています。
文字から受ける印象
実は王羲之以前の作品は、これほど変化のある作品は少なく「ちょっと単調かな?」と感じます。記録を残すための文字といった印象です。
しかし、王羲之は流れるような筆使いが特徴で、概形の大きさに変化があり、文字もバリエーションが豊富です。

芸術的だと思いませんか?
それまで変化が少なく単調だった文字に、流れがあったり、概形や太さの変化などを加えたことで芸術的な「書」となりました。
そのため王羲之は「書聖」と言われています。

王羲之の文字は、画期的だったんだ!

文字を芸術にしたなんてかっこいいわ

一つ一つの文字がいきいきしてて、まるで踊ってるみたい!

今日の授業はここまでです。みなさん、お疲れさまでした!
まとめ
王羲之
- 東晋時代の書家
- 代表作:「蘭亭序」「十七帖」「喪乱帖」など

因みに、王羲之の直筆は残っておらず、現存する作品はトレースしたものです
- 特徴:流れるような筆使い、変化に富んだ文字
- キーワード:「書聖」




