
突然ですが今日は書道史。書道の歴史について勉強します。

僕も書道歴7年になったし、気になっていました。

ベートーヴェンやモーツァルトって音楽家の名前くらいは知ってるのに、書道家は知らないの。せっかく書道をやっているんだから、ちょっとくらい書道史も知っておかないとね。

ぼくでもわかるかな。むずかしい話は眠くなっちゃうんだ。

くうちゃん、大丈夫ですよ。簡単な言葉で説明していきます。もしわからない言葉があったら言ってくださいね。
中国には「唐時代」と言われる時代がありました。書道や詩など、文化がとても栄えた時代でした。
書道界には「初唐の三大家」と呼ばれる人たちがいます。
「初唐」というのは唐時代の初めの頃という意味で、「三大家」とは、偉大な3人といったニュアンスでしょうか。
今回はそんな「初唐の三大家」のひとり【欧陽詢】について勉強していきます。
欧陽が名字、詢が名前です。
欧陽詢の生涯
欧陽詢は幼い頃に父親が謀反の罪で死刑となってしまいます。

むほん?

簡単にいうと、皇帝(国の王様)に向かって兵隊を使って喧嘩を仕掛けることかな。
父親を亡くした欧陽詢は父の友人に育てられました。
欧陽詢はとても頭が良いことで有名で、大人になると2度も皇帝のもとでお仕事をしました。
その後、太宗という皇帝から皇太子の教育係に任命されました。
プライベートでは子どもが4人いたようです。
85歳で亡くなり、当時としてはかなりの長寿でした。
書の代表作

では、欧陽詢の書を見ていきましょう!

左は「きゅうせいきゅう れいせんめい」、右は「こうほたんひ」と読みます。

うわ!なんか、黒いですね。

これは「拓本」といいます。一旦このまま受け入れてください。
「九成宮」とは皇帝の別荘のこと。「醴泉」は甘い水のことです。
当時の皇帝、太宗が過ごした九成宮の甘い湧水にちなみ、太宗の徳治を称えて建てられた記念碑が「九成宮醴泉銘」です。

「とくじ」って何ですか?

簡単にいうと、皇帝が国のためにみんなをまとめることかな。
皇甫誕碑の「皇甫誕」とは人の名前です。皇甫誕碑は、皇甫誕さんの功績を称えるために建てられた石碑です。
これらの石碑を作るときに「欧陽詢くん、字ぃ上手かったよね?書いてくれない?」とお願いされて書きました。
お願いと言っても、相手は皇帝だったり国のお偉いさんであることが多かったため、どちらかというと「任命」というニュアンスが近いのかもしれません。
因みに、「撰文」と言って文章を考える人は別にいます。文章を考える人、文字を書く人と分担して記念碑が建てられたんですね。
欧陽詢の文字の特徴
欧陽詢は、書道をお手本で学んで基礎を身につけると、次第に強さや鋭さが磨かれた独自の書きぶりになり、新しい書風を生み出していきました。その特徴を見ていきましょう。
背勢
「はいせい」と読みます。
背勢だけ説明しても分かりにくいので、反対の「向勢」と比べてみましょう。

私が書いた文字で解説していきます。

どうでしょうか?違いがわかりますね。
左は欧陽詢、右は虞世南という人の字をお手本にして書いてみました。

左はキリッとして引き締まっててかっこいいわ。右はふんわりしてて優しい印象ね。

印がついている縦画がポイントかな?

マミさん、まさに欧陽詢の文字が与える印象はその通りです。そして、さとるくんの言う通り、主に縦画で与える印象が違っています。
シンメトリーな縦の画どうしなどを背いたような形にすることを「背勢にする」と言ったりします。
この「背勢」が欧陽詢の文字の大きな特徴です。
横画の線

横画の線にも特徴があります。欧陽詢・虞世南、それぞれの特徴をピックアップした「一」です。


欧陽詢さんの「一」はビシっ!って感じ。虞世南さんは「ふんわり」かな。同じ「一」なのに、全然ちがう!
このように、同じ線を書いても受ける印象が違いますね。
縦長な字形
欧陽詢の文字を見ていると縦長だなと感じる文字がたくさんあります。

代表的な文字と、その秘密を探っていきましょう!

「徳」「葉」「風」という文字です。とても縦長に見えませんか?
その秘密が印をつけている部分にあります。
「徳」の5画目や、草かんむりなど、上に飛び出した縦画がツノのように長くカッコよく書いてあります。
また「風」は風がまえの内側をゆったり空けることで、縦長な字形にまとめられています。
文字から受ける印象
どうでしょうか?欧陽詢の書いた背勢の字は縦画どうしが背いたように書かれていたり、上に飛び出した縦画がツノのように長く書かれていたり…

厳しめの印象を受けませんか?
むずかしい言葉で表現すると、「厳正な線」や「厳格な書風」と言われることが多いです。
楷法の極則
欧陽詢の文字は「楷法の極則」と言われます。

「きょくそく」?

「ごくそく」とも読みます。「楷書といえば欧陽詢が優勝!」といった意味です。
これ以上磨くところはないほどに精密に組み立てられた欧陽詢の楷書は、初唐以降の時代から今までずっと「楷書といえば欧陽詢!」と多くの書道家が欧陽詢の文字をお手本にして書道の勉強をしました。これからもきっとたくさんの書道家のお手本になっていくと思います。

みんなのお手本なんて、カッコ良いですね!

字を見ていると、何だかすごくイケメンだったんじゃないかって思ってしまうわ。
欧陽詢は「その書を見たら、彼の顔は想像できまい」と言われるほど容姿が醜かったそうです。しかし、そんなコンプレックスが美しさを研究する原動力になっていたと言われています。

心がイケメンだったのね。素敵な人だわ。

頭も良かったってことは、相当な努力家だったのかも。

ぼくも、もっとお習字頑張るぞ!

今回の書道史の授業はここまでです。みなさんお疲れ様でした!
まとめ
欧陽詢
・「初唐の三大家」のひとり
・代表作:「九成宮醴泉銘」「皇甫誕碑」
・特徴:背勢の字形、厳正な線、厳格な書風、
・キーワード:「楷法の極則」

