
今回は初唐の三大家のひとり虞世南について学習します。

前回は欧陽詢について学習しました。欧陽詢について勉強したい人は下の記事を読んでください。

簡単に復習すると、欧陽詢の字はキリッとしてて厳しい印象の文字でした。

虞世南の文字は前回、背勢と向勢を勉強したときにちょっとだけ出てきましたね。

文字がふんわりしてて優しい印象だったから、気になっていたわ。

ふんわり文字のヒミツは何だろう?

では早速、授業に入っていきましょう!
生涯
虞世南は名家の家に生まれました。お金持ちで頭も良かったんですね。
大人になってからは皇帝のもとでお仕事をしていました。
唐時代の皇帝である太宗も「世南に五絶あり」と言っています。

ごぜつ?

「絶」は優れているという意味があります。「五絶」は優れている部分が5つあるという意味です。
- 徳行(おこないが良い)
- 忠直(素直に仕える)
- 博学(頭が良い)
- 文辞(文章が上手い)
- 書翰(字が上手い)

皇帝に褒められるなんて、すごく信頼されてたんですね。
虞世南は80歳くらいで亡くなっており、当時としてはかなりの長寿でした。虞世南の亡き後、太宗皇帝は「共に書を語る仲間がいなくなった」と悲しんだそうです。
代表作

「孔子廟」というのは孔子という人を祀った聖堂で、太宗皇帝が改修を行いました。その完成を祝って建てられた碑が、孔子廟堂碑です。撰文(作文)も書も虞世南によるものです。
文字の特徴
向勢
「こうせい」と読みます。向勢だけではわかりにくいので反対の「背勢」と比べてみましょう。


背勢はビシっ!向勢はふんわりって感じかな。

そうですね。これが虞世南の文字の最大のヒミツです
シンメトリーな縦の画どうしなどを向かい合うような形にすることで、ふんわりした印象の文字になっています。
穏やかな転折
虞世南のふんわりした文字には向勢の他にもヒミツがあります。
転折は押さえ過ぎず穏やかです。
転折とは小学校の書写の授業で「折れ」と習う部分のことです。
欧陽詢と虞世南の転折のちがいを見てみましょう。


全然ちがうわ。

左側の欧陽詢はキリッとシャープに。右側の虞世南は優しくまろやかな印象ですね。
懐が広い
さらに文字の懐が広いことも虞世南の文字の特徴です。

フトコロって何ですか?

懐は文字の内部(内側)のことだと思ってください。資料で確認しましょう。


ピンクで印をつけたところが文字の内部(内側)です。

文字の懐を広く空けることで、ゆったりとした文字になります。
流麗な右ばらい
虞世南の右ばらいは「流麗」と言われます。

「りゅうれい」ってどういうことですか?

「流」は流れですね。ここでは「筆の流れ」と言って良いかもしれません。「麗」は立派で華やかという意味があります。資料を見てみましょう。


ちょっと長めですね。

優雅な印象も受けるわ。

その通りです!ちょっと長めに伸ばすことで、優雅な文字になります。
精密に組み立てられた字形
虞世南の文字は、精密に組み立てられています。


ピンクの印の意味がわかりますか?
横画と横画の間が均等になっています。厳密に測ると均等ではないので「均等に見える」ように組み立てられています。

分位法といいます。
これが精密に組み立てられているヒミツのひとつです。

文字がしっかり安定して見えます。
分位法の他にも文字を安定して見せるための技法がたくさん使われていますが、今日はこれだけ紹介しました。
文字から受ける印象
虞世南の文字は線や転折がふんわりしています。
流麗な右ばらいや、懐を広く空けることでゆったりした優雅な文字になります。
しかし、文字の構成は基本原則に則してしっかり組み立てられています。
穏やかさの中にもしっかりした強さがあるんですね。

上品な印象を受けませんか?

ただ、ふわっとしただけの文字ではなく、しっかりと組み立てられてるんですね。

確かに、懐も広すぎず絶妙なバランスね。

ぼくも、虞世南さんみたいな、強くて優しい字が書けるようになりたい!

今日の授業はここまでです。みなさん、お疲れ様でした!
まとめ
虞世南
- 「初唐の三大家」のひとり
- 代表作:「孔子廟堂碑」
- 特徴:向勢な字形、穏やかな転折、広い懐、流麗な右ばらい


